FIP制度とは?初心者向け解説
こんにちは!私は電気工事士のたかひろです。今回は、再生可能エネルギーに関連する「FIP制度」について、初心者の方向けに詳しく解説します。電気工事やエネルギー分野に興味を持っている方はもちろん、「名前だけ聞いたことがあるけど、何のことかよく分からない」という方にも分かりやすくお伝えしますので、ぜひ最後までお付き合いください。

FIP制度って何?
まずは、「FIP制度」という名前について簡単に説明します。FIPとは “Feed-In Premium” の略で、日本語では「市場連動型価格差補填制度」と呼ばれることがあります。
再生可能エネルギーを推進するために設けられた制度で、発電事業者が再エネ電力を市場で販売した際、その売電価格が一定基準を下回った場合に、補助金を上乗せする形で支援する仕組みです。
FIT制度との違い
FIPを理解するうえで、同じく再エネ促進策である FIT制度(Feed-In Tariff) と比較すると分かりやすいです。
| 項目 | FIT制度 | FIP制度 |
|---|---|---|
| 売電価格の特徴 | 国が決めた固定価格で買い取る | 市場価格 + プレミアム(補助金) |
| リスク | 事業者にとって安定的 | 市場価格変動の影響を受ける |
| 発電事業者の責任 | 販売先の手配不要 | 市場での販売が必要 |
FITは、再エネ発電を始めやすいように固定価格で買い取る制度でしたが、FIPでは市場に電力を直接売ることが前提となります。この違いにより、再エネの市場競争力を高める狙いがあります。
FIP制度が導入された背景
日本では、再生可能エネルギーの導入を加速させるために、2012年にFIT制度が始まりました。太陽光や風力、バイオマスなどの発電が増えた一方で、以下のような課題が浮上しました。
1. 国民負担の増加
FIT制度では、買い取り価格が高く設定されているため、そのコストが電気料金に上乗せされていました。これにより、家庭や企業の負担が増大。
2. 市場競争力の欠如
FIT制度では、固定価格での買い取りが保証されていたため、発電事業者が市場原理に基づいて行動するインセンティブが弱かったのです。
3. 電力需給のミスマッチ
再エネの発電量は天候や時間帯に左右されやすいため、電力需要との調整が課題となりました。
これらの問題を解消しつつ、再生可能エネルギーの普及を続けるために導入されたのがFIP制度です。
FIP制度の仕組み
それでは、具体的な仕組みを見ていきましょう。
1. 市場価格の動きに応じた補助
発電事業者は、再エネで発電した電力を電力市場で販売します。このとき、電力市場の価格が基準価格(目標価格)より低かった場合、その差額分を補助金として受け取ります。
例:
- 基準価格(目標価格):15円/kWh
- 市場価格:12円/kWh
- 差額補填額:3円/kWh
2. 市場価格が基準を上回る場合
逆に、市場価格が基準価格を上回る場合、補助はありません。この仕組みによって、発電事業者は市場価格に注目しながら発電を行うことになります。
3. 自己責任での市場取引
FIT制度では、発電した電力を電力会社に販売するだけでよかったのに対し、FIP制度では発電事業者が自ら市場で売り先を探し、電力取引を行う必要があります。そのため、発電事業者には市場取引の知識やリスク管理能力が求められます。
FIP制度のメリットとデメリット
メリット
- 市場競争力の向上
発電事業者が市場価格を意識することで、効率的な運営が期待されます。 - 国民負担の軽減
FIT制度のような高額な固定価格を設定しないため、電気料金への負担が減少します。 - 柔軟な需給調整
市場価格に応じて発電量を調整することで、電力の需給バランスが改善されます。
デメリット
- 市場リスクの増加
発電事業者は市場価格の変動リスクを負うことになります。 - 複雑な運用
電力市場や補助金の仕組みを理解し、適切に取引を行うためには知識が必要です。 - 小規模事業者への負担
FIT制度と比べてハードルが高く、小規模な発電事業者が参入しづらくなる可能性があります。
電気工事士としての視点
電気工事士の仕事にも、このFIP制度の影響が少しずつ広がっています。たとえば、再エネ発電設備の設置工事や保守点検では、以下のような変化が見られるでしょう。
- 市場連動型発電のニーズ増加
太陽光や風力発電の設備は、より効率的な運転が求められるため、設計や工事に精度が求められます。 - 管理システムの導入
発電量や市場価格をリアルタイムで把握できるシステムの需要が増え、これに伴う電気設備工事も重要になります。 - 新たな技術への対応
スマートグリッドやバッテリー蓄電技術など、FIP制度を支える新技術の普及が進むため、これらへの知識やスキルをアップデートする必要があります。
今後のFIP制度の可能性
FIP制度は、再生可能エネルギーの普及を市場原理に基づいて進める新しい仕組みです。これにより、私たちの暮らしや電気工事の現場にはどのような変化が起こるのでしょうか? ここでは、今後の可能性や課題についてさらに掘り下げていきます。

1. 再エネ設備のさらなる多様化
FIP制度の導入により、発電事業者は市場価格や需給に応じた発電が求められるため、効率性が重視されます。これに伴い、再生可能エネルギー設備の設計や運用には、以下のような多様化が進むと考えられます。
- 小型風力発電や分散型エネルギーの普及
大規模な設備だけでなく、地域コミュニティや家庭向けの小型発電設備が注目される可能性があります。 - ハイブリッド発電システムの活用
太陽光と風力、または再エネと蓄電池を組み合わせたシステムが一般化し、効率的な発電を目指す取り組みが進むでしょう。 - IoT技術の導入
発電設備のモニタリングや運転制御にIoT技術が使われ、発電事業者がリアルタイムで市場価格や需要に応じた運用を行えるようになります。
電気工事士としても、これら新しい設備の設置や保守を担う機会が増えるでしょう。そのため、新技術への知識を常にアップデートすることが求められます。
2. スマートグリッドの普及
FIP制度の運用では、市場価格と発電量の需給バランスが重要です。このバランスを効率よく管理するためには、スマートグリッド(次世代送電網)の普及が鍵を握ります。
スマートグリッドでは、以下のような仕組みが活用されます。
- 電力のデジタル管理
各家庭や企業、発電所の電力消費量・供給量をデータとして収集し、最適化を図る技術です。 - 需要応答(デマンドレスポンス)
電力需要が高まる時間帯に、価格を上げることで消費者の使用量を抑える仕組みです。 - 再エネとの連携
再生可能エネルギーの供給量が不安定な時間帯に、蓄電池や他のエネルギー源と調整する技術が導入されます。
電気工事士としては、このような次世代送電網に関する知識や、関連する機器の取り付け・メンテナンスを行うスキルが必要になるでしょう。
3. 地域エネルギー事業への期待
FIP制度は、大規模な発電事業者だけでなく、地域単位でのエネルギー事業にも大きな可能性をもたらします。
地域分散型エネルギーのメリット
- エネルギーの地産地消
地域で発電した電力をその地域内で消費することで、送電ロスを削減し、効率的なエネルギー活用が可能になります。 - 災害時のエネルギー供給
災害時でも、地域内で電力を確保できるため、ライフラインの早期復旧が期待できます。 - 地域経済の活性化
地域住民や企業がエネルギー事業に参画することで、地元経済が潤います。
これにより、地方自治体やコミュニティが自ら発電所を設置し、電力を市場で販売する「地域エネルギー会社」の設立が進むかもしれません。電気工事士としても、こうした地域プロジェクトに関わる機会が増えそうです。
4. 技術者の役割とスキルアップの必要性
FIP制度の普及に伴い、私たち電気工事士にはこれまで以上に幅広いスキルが求められるようになります。
必要とされるスキル
- 電力市場の基礎知識
FIP制度の基本的な仕組みを理解し、顧客に適切なアドバイスができること。 - 新しい設備の導入スキル
太陽光パネルや風力発電機、蓄電池などの設置やメンテナンスに関する技術。 - デジタルツールの活用
IoT機器やスマートグリッド関連設備の設定・運用スキル。 - 安全基準への対応
再エネ設備の施工には独自の安全基準があるため、これを遵守することが重要です。
5. 再エネ時代を支える私たち
FIP制度は、再生可能エネルギーの「次のステージ」に向けた挑戦とも言えます。この制度を通じて、再エネの普及が進み、より持続可能なエネルギー社会が実現することが期待されています。
私たち電気工事士は、その「現場」を支える重要な存在です。一つひとつの工事や保守作業が、再エネ社会の未来を形作っています。



























