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電動機の運転制御

電動機

電動機の運転制御

電動機は、工業製品や家庭用品などの機器でよく使用されています。これらの機器を正確かつ効率的に運転するためには、適切な制御運転が必要です。解説します。

運転制御の目的

電動機を適切に運転するためには、以下の目的を達成する必要があります。

  1. 電動機に必要な電力を実現
  2. 電動機を必要な速度で回転させる
  3. 電動機に必要なトルクを提供する
  4. 電動機を過負荷から保護する

これらの目的を達成するために、運転制御は電動機の回転数、トルク、電力の供給を制御することができます。

運転制御方法

頻度制御

周波数制御は、電動機の回転数を制御する方法の一つです。 周波数制御では、電圧の周波数を変化させることにより、電動機の回転数を制御します。逆に、電圧の周波数を下げると、電動機の回転数も下がります。

パルス幅変調制御

パルス振幅変調制御により、電動機のトルクを制御する方法の一つです。パルス振幅変調制御では、電圧のパルス幅を変化させること、電動機のトルクを制御します。トルクが減少します。 逆に、パルス幅を長くすると、電動機のトルクが増加します。

電動機の運転制御の基本

三相誘導電動機の始動法

全電圧始動法(じか入れ運転)

三相誘導電動機の始動法には、全電圧始動法(じか入れ運転)スターデルタ始動法(Yー△始動法)などがあります。

全電圧始動法は、電源電圧を直接加える始動法で、始動時の電流が定格電流の6倍〜10倍と大きくなるので、定格出力が3.7キロワット(kW)以下のかご形誘導電動機に限って使います。

内線規定では、定格出力3.7kWを超える三相誘導電動機は始動装置を使用することになっており、11kW未満の特殊かご形電動機や、契約電力80kW以上の場所で電動機出力がその1/10以下の場合に始動器の省略が認められています。

三相誘導電動機

三相交流電源で回転する電動機

三相誘導電動機
固定子と回転子

電動機のカットモデルで見える回転子と固定子(コイル)。固定子の電磁石が回転磁界を生み出して、回転子を回す

固定子と回転子

スターデルタ(Yー△)始動法

スターデルタ始動法は、スターデルタ始動器などを使って始動時は固定子巻線をスター結線(Y結線)と呼ばれるつなぎ方をして電流を3分の1に抑え、定格速度に近づいたらデルタ結線(△結線)と呼ぶつなぎ方に切り替える方法です。

3極双投開閉器

三相電源を手動で切り替えるスイッチ。Yー△始導器や可逆スイッチとして使用する。

3極双投開閉器
スターデルタ始動器

三相誘導電動機のスターデルタ始動を手動で行う機器。

スターデルタ始動器

まとめ

①三相誘導電動機は、固定子コイル磁界が回転する

②定格出力が3.7kWを超える三相誘導電動機には始動装置を使用する

③三相誘導電動機の逆転は、電源線の2本の接続を入れ替える

④力率の改善に進相コンデンサ並列に入れる

電動機の運転制御は、機器や製品の正確かつ効率的な運転に不可欠な技術です。運転制御の目的は、電動機に必要な電力を供給し、必要な速度で回転させ、必要なトルクを提供し、過負荷から保護することです。

運転制御の方法には、頻度制御、パルス幅変調制御、ベクトル制御があります。頻度制御は、電圧の周波数を変化させることにより、電動機の回転数を制御します。パルス幅変調制御は、電圧のパルス幅を変化させることにより、電動機のトルクを制御します。ベクトル制御は、電動機の回転数とトルクを同時に制御する方法です。

運転制御技術は、自動車、家庭用品、産業機器など、多くの分野で使用されています。例えば、自動車では、エンジンやモーターの制御により、車両の速度や加速度を制御しています。家庭用品では、洗濯機やエアコンなどの電動機を適切に制御することにより、消費電力を抑え、省エネに貢献しています。産業機器では、生産プロセスの高度化により、より正確な制御が必要になっています。

今後も、より高度な運転制御技術の開発が進むことが期待されています。例えば、AI技術を用いた自己学習型の運転制御や、IoT技術を用いたリアルタイムの制御などが注目されています。これらの技術が実用化されることで、より効率的な運転制御が実現され、社会全体の省エネ・低炭素化に貢献することが期待されます。

今回は電動機の運転制御の基本について学習しました。第1種電気工事士の試験には必須の項目となりますので、よく理解しときましょう!

 

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