高圧受変電設備の接地工事
高圧受電設備は、高圧の電力を扱うため、安全面において非常に重要な役割を果たします。そのため、高圧受電設備においては、十分な接地工事が必要不可欠です。
接地工事の目的
接地工事の目的は、以下の通りです。
- 人や設備の安全確保
- 電気的なノイズの低減
- 電気的なショックや火災の防止
これらの目的を達成するためには、高圧受電設備に適切な接地工事を行うことが必要です。
接地工事の方法
高圧受電設備においては、以下のような接地工事が必要です。
1. 主接地
高圧受電設備においては、主接地が必要です。主接地とは、電気的な地極であり、地中に埋設されます。主接地は、受電設備からの漏電電流を地中に逃がすことで、人や設備の安全を確保する役割があります。
2. 保護接地
保護接地とは、電気設備の金属部品を接地することで、漏電や過電圧などの異常発生時に、電気設備から人や設備へ流れる電流を逃がすことができるようにするものです。保護接地は、安全面において非常に重要な役割を果たします。
3. 電磁波対策接地
高周波やマイクロ波を扱う設備においては、電磁波対策接地が必要となります。この接地は、電磁波を地中に逃がすことで、電気的なノイズの低減に役立ちます。
接地棒の設置方法
接地棒は、高さ1.5m程度のものを数本、電気設備の周りに地中に埋め込みます。接地棒には、接地線を接続し、その接地線を高圧受電設備に接続します。接地線は、専用の配線管を介して高圧受電設備に接続され、電気設備本体に直接接続されることはありません。
接地抵抗の測定
接地抵抗とは、接地棒と地中の抵抗値のことで、接地抵抗が高い場合は、接地効果が低下し、事故防止のための安全性が確保されません。そのため、接地抵抗を測定することが必要です。接地抵抗測定器を使用し、測定結果が規定値以下であることが確認された場合に、接地工事は完了となります。
接地工事の原則を覚えよう
高圧受電設備で覚えておくべき接地工事は、以下の通りです。
①A種接地工事・・・高圧機器の鉄台・金属製外箱、避雷器、屋内配線の高圧ケーブルの遮蔽銅テープ
②B種接地工事・・・高圧を低圧に変圧する変圧器の低圧側の中性点
③D種接地工事・・・計器用変圧器や変流器の二次側、接触防護措置を施した屋内配線の高圧ケーブルの遮蔽銅テープ、架空ケーブルのちょう架用線およびケーブルの金属被覆
B種接地工事(混触による低圧電路の危険防止)
変圧器の低圧二次側中性点に施すB種接地工事では、接地抵抗の最大値は、150[V]を高圧配電線の1線地絡電流の値I[A]で割った値になります。ただし、高圧電路と低圧電路の混触事故が起きたときに、自動的に高圧側の電路を遮断する装置を施した場合には、その動作時間によって接地抵抗の最大値は300V/Iまたは600V/iになります。
また、B種接地工事で使用する接地線は、直径2.6mm以上の軟銅線を用います。
接地極の材質と共用
接地極の材質は、銅板あるいは銅棒が一般的ですが、鉄棒、鉄管などでも構いません。
なお、同じ箇所に2種類以上の接地工事を施す場合には、避雷器の接地極をのぞいて、接地抵抗値の小さい方の接地工事で他の接地工事と共用できます。
A種・B種の接地線・接地極に人が触れるおそれがある場所での施設
柱上に施設した高圧機器に接地工事を施す場合のように、A種やB種の接地線や接地極に人が触れるおそれがある場所では、合成樹脂管などで接地線を覆い、接地極の位置は以下のように定められています。
①地下75cm以上の深さ
②鉄柱や金属体に近接するときは金属体底面から30cm以上の深さにするか金属体から1m以上離す
高圧ケーブルのシールド(遮へい銅テープ)の接地
屋内配線の高圧ケーブルのシールド(遮へい銅テープ)には、A種接地工事を施します。ただし、ケーブルに接触防護措置が施されている場合には、D種接地工事にできます。
また、高圧ケーブルに零相変流器を施設する場合には、ケーブル内で発生する地絡事故まで確実に検出するために、ケーブルシールドの接地は、負荷側で接地しなければなりません。
まとめ
①接地工事は接地抵抗の低い方で兼用可能
高圧受電設備の接地工事は、電気設備において非常に重要な安全対策の一つです。接地棒を地中に設置することで、異常電流が発生した際に発生する電圧を地中に逃がし、人命や財産を守ることができます。接地抵抗の測定により、接地効果が確認された場合に、安全な状態となります。
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