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電線の許容電流値

電線の許容電流値

電線の許容電流値について

電気工事において、配線設計において非常に重要なパラメータである「電線の許容電流値」についてご紹介します。

電線の許容電流値とは?

電線とは、電気信号を伝送するための配線であり、電気機器の電源や信号伝送に欠かせない部品です。しかし、電線に流れる電流が許容電流値を超えると、配線が過熱して断線や火災の原因になります。そのため、電線には許容電流値が設定されており、適切な電線を選ぶことが必要です。

まず、電線の許容電流値には、直流および交流の場合があります。直流の場合は、電線の直径に比例して許容電流値が増加します。一方、交流の場合は、電線の許容電流値には、周波数や電線の形状などの影響があります。したがって、電線の許容電流値を決定するためには、電線の種類、直径、材質、および周波数などの要因を考慮する必要があります。

電線の許容電流値とは、電線に流れる電流の上限値のことです。適切な許容電流値を計算することによって、電線の断線や過熱、火災などを防止することができます。

計算方法

許容電流値の計算には、電線の断面積や配線方式、設置条件などが影響します。配線設計には専門的な知識や経験が必要であり、法律や規制にも従う必要があります。

一般的には、電線の許容電流値は、次の式で計算されます。

mathematica
IK×S×(θ/100)×(1+αt)

I:許容電流値(A) K:許容電流値係数 S:断面積(㎟) θ:設置場所の温度(℃) αt:温度係数

この式を用いて、適切な許容電流値を計算することができます。

配線設計の重要性

配線設計には、法律や規制に従う必要があり、電気工事士や電気技術者による適切な配線設計が求められます。また、定期的な点検やメンテナンスも欠かせず、配線の安全性を確保するためにも重要です。

例えば、通常、一般住宅の壁の中に通される電線には、許容電流値が15Aから20Aの範囲で設定されています。この場合、断面積が小さい電線を使用すると、電流が大きくなるために過熱が起こりやすくなります。一方、断面積が大きすぎると、配線が厚くなりすぎて設置が困難になることもあります。そのため、電線の許容電流値を適切に設定することが、適切な配線を行うために非常に重要です。

また、電線の許容電流値は、配線方式によっても異なります。例えば、電線が同じ断面積であっても、表面温度が異なる表面放熱配線と同軸配線を比較すると、同軸配線の方が許容電流値が低くなる傾向があります。このように、配線方式や設置条件によって許容電流値が変化するため、配線設計の際には、電線の許容電流値を正確に計算する必要があります。

さらに、許容電流値は、電線の寿命にも影響します。過剰な電流が流れることによって、電線の断線や過熱が起こり、電線の寿命が短くなる場合があります。そのため、許容電流値を適切に設定することは、配線の安全性だけでなく、電線の寿命を延ばすためにも重要です。

絶縁電線の許容電流

電線の絶縁物は温度上昇によって劣化するため、絶縁物の種類ごとに最高許容温度が定められています。電線に電流が流れると、わずかな電気抵抗により発熱しますが、電流を常時流し続けても絶縁物が最高許容温度まで達しない電流の限界値を許容電流といい、電線の材質・太さ、絶縁物、施工方法、周囲の温度などによって定められています。

許容電流の基準となる絶縁電線の太さは、単線の場合はその直径で、より線の場合には素線の総断面積で表します。

電線の許容電流

同一管に収めるときの電流減少係数

絶縁電線を電線管やケーブル外装などに収めると、ジュール熱による発熱が大きくなるため、電線管やケーブル外装に収めた絶縁電線の許容電流はその分少なめに規定します。

どのくらい少なくするかは、同じ管内に何本の電線を収容するかによって「電流減少係数」が決められていて、許容電流に電流減少係数をかけた値が許容電流となります。

電流減少係数

電線接続の要件

電線同士を接続するときは、火災や感電防止のために、以下の条件を満たすことが求められています。

①電線の電気抵抗を増加させない

②電線の引張り強さを20%以上減少させない。ただし、電線に加わる張力が電線の強さに比べて著しく小さい場合は除く。

③接続部分には、接続管その他の器具を使用するか、ろう付けをする

④接続部分に絶縁電線の絶縁物と同等以上の絶縁効力のある接続器を使用する場合を除き、接続部分を絶縁電線の絶縁物と同等以上の絶縁効力があるもので十分被覆する

⑤コード相互、キャブタイヤケーブル相互、ケーブル相互またはこれらのもの相互を接続する場合は、コード接続機、接続箱その他の器具を使用する。ただし、断面積8㎟以上のキャブタイヤケーブル相互を接続する場合を除く

電線接続要件

安全性を確保するために

電気工事には、命を守るための責任が伴います。正確な配線設計適切な点検メンテナンスによって、電気設備の安全性を確保し、火災事故の発生を防止することが大切です。電気工事に携わるすべての人々が、常に安全に配慮し、責任を持って作業を行うことを心がけましょう。

以上、電線の許容電流値についてご紹介しました。正確な計算方法や配線設計の重要性について理解し、安全性を確保するためには、専門家による適切な配線設計や定期的な点検・メンテナンスが必要であることをお伝えしました。

まとめ

電線の許容電流値は、配線設計において非常に重要なパラメータであり、電線の断線や過熱、火災などを防止するために正確に計算する必要があります。また、許容電流値は、電線の断面積配線方式設置条件によって異なり、配線設計には専門的な知識や経験が必要です。

配線設計には、法律や規制にも従う必要があり、電気工事士や電気技術者による適切な配線設計が求められます。また、定期的な点検やメンテナンスも欠かせず、配線の安全性を確保するためにも重要です。

最後に、電気工事には、命を守るための責任が伴います。正確な配線設計と適切な点検、メンテナンスによって、電気設備の安全性を確保し、火災や事故の発生を防止することが大切です。電気工事に携わるすべての人々が、常に安全に配慮し、責任を持って作業を行うことを心がけましょう。

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