今回は熱複合式感知器について学習していきます。
熱複合式
複合式というのはその名が示すとおり、二つの感知器の機能を併せ持ったものを言います。
なぜこういうことをするかというと、異なる二つの感知器の機能の長所短所をお互いに補う合うことによって非火災報、つまり誤報をできるだけ少なくするためです。
この異なる二つの感知器ですが、言うなれば敏感な感知器と鈍感な感知器の組み合わせで、最初の敏感な感知器の第一報では受信機のみの非常ベルがなり、そこにいる管理担当者だけに発報を知らせます。この時点ではまだ火災であるかどうかは分かりません。誤報の可能性もあるわけです。
次に、鈍感ではあるが確実な感知器からの第二報が入ると、火災の発生が確実と判断し、現地の非常ベルも鳴らして居住者などにも火災の発生を知らせる、というシステムになっているのです。
その複合式には多信号機能を有するもの(異なる二つ以上の火災信号を発するもの)と有しないもの(二つの感知器で共通の一つの火災信号を発するもの)があり、有しない方を補償式スポット型感知器と言い、ここではこれについて説明します。
補償式スポット型感知器
ダイヤフラムの作動式スポット型と、金属の膨張タイプの定温式スポット型を合わせた構造となっています(定温式がバイメタル式の場合もあります)。
①周囲温度が急に上昇した場合
作動式スポット型感知器の機能がはたらき、空気室の空気が膨張してダイヤフラムを押し上げ、接点を閉じて発報します。
②周囲の温度が緩慢に上昇した場合
空気の膨張が遅いので、ダイヤフラムを押し上げる前にリーク孔から逃げ、よって作動式の機能は働きません。
しかし、その上昇が続くと、定温式の高膨張金属が膨張して左右に伸び、上の接点が下に押し下げられて接点を閉じ発報します。
つまり、定温式スポット型感知器の機能が働くわけです。
熱煙複合式スポット型感知器
「作動式スポット型感知器の性能または定温式スポット型感知器の性能」と「イオン化式スポット型感知器の性能または光電式スポット型感知器の性能」を併せ持つもので、多信号を発することができるもの。
熱アナログ式
アナログ式の感知器はアナログ式の受信機と組み合わせて用いるもので、従来の感知器の一定の温度や煙濃度に達した時に初めて火災信号を発信したのに対して、アナログ式は温度や煙濃度が一定の範囲内になった時にそれらの温度や煙濃度などの情報、すなわち火災情報信号を連続して発信できるようにした「進歩した」感知器のことです。
まとめ
・熱複合式→二つの感知器の機能を併せ持ったもの
・補償式スポット型感知器→ダイヤフラムの作動式スポット型と、金属の膨張タイプの定温式スポット型を合わせた構造
今回は複合式感知器について学習しました。消防設備士の試験には必須の項目となりますので、しっかり覚えましょう!